5. 運命の人
大変なデートになってしまいました。マナミさんは、帰宅後「私のせいでごめんなさい」と柿田くんにお詫びの電話をいれました。
「マナミさんのせいじゃない。大変だったけど、これに懲りないでまた会ってください」柿田くんがやさしく答えます。
柿田くんとの会話の間、「とにかく気をつけて」という、マリさんのラインがマナミさんの頭をかすめました。
柿田くんとのデートの日以来、マナミさんは家にこもりっきりで、大学の授業も休みがちになりました。
「どうしたの、柿田くんと何かあったの、授業にも出てないようだし」真子さんも心配してマナミさんにメールをします。
「先輩、ごめんなさい。今はちょっと、、誰とも話をしたくない気分で」とマナミさん。
マナミさんは、連日、誰かに尾行されているような気がして仕方ありませんでした。それもあって、外出するのが余計おっくうになっていました。
<誰が、何のために私を・・・>疑心暗鬼になり、深い闇の中で立ち往生しているような辛い日々が続きました。
柿田くんからもマナミさんを気づかうメールが毎日のように届きました。
「なんか、誰かに後をつけられているような気がするの」マナミさんは心配事を柿田くんに打ち明けました。
「もしかしたら、この間の奴らかな。なんなら僕がマナミさんのそばに張り付いててあげるよ」
<もちろん、そんなことは無理に決まっている。あんな目にあったのに、自分のことより私のことをとても心配してくれてる>柿田くんのことがとても心強い、頼もしい存在に映りました。マナミさんの柿田くんへの想いが一層強くなっていきました。
メールに添付されていた、柿田くんからのたい焼き屋さんの画像にマナミさんは癒されました。時に、柿田くんがたい焼きを3匹大口開けて頬ばっておどけている姿もありました。マナミさんの冷えていた心が次第に緩んでいきました。
<私の運命の人なのかも・・・>そう想いつめるほどマナミさんの心に柿田くんはしっかり入り込んでいました。
その頃、マリさんは、男狩り隊の合コンで出会った男子たちのことを考えていました。あの時、目の前に浮かんだ、とてもおぞましい光景、それをマナミさんに話していいものかどうか悩んでいました。
この世的にはとても悲惨で、決して起きてはならないことです。しかし、どうしても引っかかるのがマナミさんの心の奥底に潜む彼女の魂の計画です。はたしてそこに介入していいものなのかどうか、マリさんは苦悩しました。
あの時、マリさんの目に、マナミさんが数人の若者たちに目隠しされ乱暴されている姿が映ったのです。クスリを飲まされたのか、マナミさんの足元がふらついています。口はテープでふさがれ、ワンピースの胸元が裂けています。目を覆いたくなるような光景でした。
<やっぱりダメ、どんなことをしても止めないと>マリさんは覚悟を決めました。
マリさんは外に出て、歩道橋の上に立ち、夜空に碁盤の目のようなグリッドを思い描きました。そして、そこにマナミさんと関わる人々の想いを配置し、その想いを縦横に動かしていきました。
思念操作。それをマリさんはやろうとしたのです。
しかしそれは、決してやるべきではない、禁じ手でもありました。人々の想いの深奥にある魂の計画、そこに割り込み、運命に介入するようなことを行えば、必ず反動が起きます。その反動の渦でマリさんの魂が傷つき取り返しのつかないダメージを受けかねないからです。
マナミさんには彼女自身の魂が決めた計画があります。
しかしそれでも、マリさんは、その魂の計画に強引に分け入ろうとしました。最悪の事態を食い止めるために。
6. 恐るべし白澤マリ
「マナミさんのせいじゃない。大変だったけど、これに懲りないでまた会ってください」柿田くんがやさしく答えます。
柿田くんとの会話の間、「とにかく気をつけて」という、マリさんのラインがマナミさんの頭をかすめました。
柿田くんとのデートの日以来、マナミさんは家にこもりっきりで、大学の授業も休みがちになりました。
「どうしたの、柿田くんと何かあったの、授業にも出てないようだし」真子さんも心配してマナミさんにメールをします。
「先輩、ごめんなさい。今はちょっと、、誰とも話をしたくない気分で」とマナミさん。
マナミさんは、連日、誰かに尾行されているような気がして仕方ありませんでした。それもあって、外出するのが余計おっくうになっていました。
<誰が、何のために私を・・・>疑心暗鬼になり、深い闇の中で立ち往生しているような辛い日々が続きました。
柿田くんからもマナミさんを気づかうメールが毎日のように届きました。
「なんか、誰かに後をつけられているような気がするの」マナミさんは心配事を柿田くんに打ち明けました。
「もしかしたら、この間の奴らかな。なんなら僕がマナミさんのそばに張り付いててあげるよ」
<もちろん、そんなことは無理に決まっている。あんな目にあったのに、自分のことより私のことをとても心配してくれてる>柿田くんのことがとても心強い、頼もしい存在に映りました。マナミさんの柿田くんへの想いが一層強くなっていきました。
メールに添付されていた、柿田くんからのたい焼き屋さんの画像にマナミさんは癒されました。時に、柿田くんがたい焼きを3匹大口開けて頬ばっておどけている姿もありました。マナミさんの冷えていた心が次第に緩んでいきました。
<私の運命の人なのかも・・・>そう想いつめるほどマナミさんの心に柿田くんはしっかり入り込んでいました。
その頃、マリさんは、男狩り隊の合コンで出会った男子たちのことを考えていました。あの時、目の前に浮かんだ、とてもおぞましい光景、それをマナミさんに話していいものかどうか悩んでいました。
この世的にはとても悲惨で、決して起きてはならないことです。しかし、どうしても引っかかるのがマナミさんの心の奥底に潜む彼女の魂の計画です。はたしてそこに介入していいものなのかどうか、マリさんは苦悩しました。
あの時、マリさんの目に、マナミさんが数人の若者たちに目隠しされ乱暴されている姿が映ったのです。クスリを飲まされたのか、マナミさんの足元がふらついています。口はテープでふさがれ、ワンピースの胸元が裂けています。目を覆いたくなるような光景でした。
<やっぱりダメ、どんなことをしても止めないと>マリさんは覚悟を決めました。
マリさんは外に出て、歩道橋の上に立ち、夜空に碁盤の目のようなグリッドを思い描きました。そして、そこにマナミさんと関わる人々の想いを配置し、その想いを縦横に動かしていきました。
思念操作。それをマリさんはやろうとしたのです。
しかしそれは、決してやるべきではない、禁じ手でもありました。人々の想いの深奥にある魂の計画、そこに割り込み、運命に介入するようなことを行えば、必ず反動が起きます。その反動の渦でマリさんの魂が傷つき取り返しのつかないダメージを受けかねないからです。
マナミさんには彼女自身の魂が決めた計画があります。
しかしそれでも、マリさんは、その魂の計画に強引に分け入ろうとしました。最悪の事態を食い止めるために。